【起業家インタビュー】一般社団法人みつやブリッジ 代表 宮原治代さん

宮城県丸森町とアフリカのザンビアをつないできた「ザンビア丸森プロジェクト」が、2024年、8年間にわたる活動に一区切りをつけることになりました。このプロジェクトでは、農業を軸に両地域の交流や技術支援が行われてきましたが、その終了を惜しむ声が多く寄せられました。

「小さな規模でもいいから、この活動を続けていきたい」――そんな思いを抱き、立ち上がったのが、宮原治代(みやはら はるよ)さんです。宮原さんは2021年に地域おこし協力隊として丸森町耕野地区に移住し、プロジェクトの最後の3年間を支えてきました。

そもそもこのプロジェクトが丸森町で始まった背景には、中山間地域ならではの農業技術が、ザンビアの小規模農家にとって有益なのではないかという期待がありました。丸森町からは毎年、農業の生産・加工・マーケティング分野に知見を持つ人たちがザンビアに派遣され、逆にザンビアからも農業普及員が町内の農家や企業に研修に訪れていました。

こうした交流を重ねる中で、現地では家畜の飼育や多様な作物の栽培が進むなど、確かな成果が生まれてきました。一方で、丸森町の人々にとっても、自分たちの知識や技術が海を越えて役立っているという実感が、誇りやモチベーションにつながっていました。さらに、ザンビアの人たちが小学校を訪れることで、子どもたちにとっても国際交流の貴重な体験となっていたのです。

プロジェクトの終了が近づくにつれ、町の人々からは「もうザンビアの人たちは来ないの?」という声が聞かれるようになり、ザンビア側からも「まだ支援が必要な地域がある」といった要望が届いていました。そうした声に応えるかたちで、宮原さんは2024年4月、「一般社団法人みつやブリッジ」を設立。ザンビア丸森プロジェクトの後継事業として「ザンビアと丸森町におけるWIN-WIN地域おこしプロジェクト」を2025年2月にスタートさせました。

現在、ザンビアでは干し野菜やドライフルーツを作るための乾燥ネットの製作や、種子の配布、地域調査などが進められています。地元の農業普及員が月に2回村を訪れ、現地の人々とともに知識や技術の定着を図っています。一方、丸森町でも準備が着実に進められています。2025年11月には、ザンビアから農業普及員2名を招き、町内で食品加工技術を学んでもらう予定です。

宮原さんは「ザンビアの人たちが丸森に来るだけで、町がなんだか元気になるんです」と話しています。また、異文化と触れ合う経験は特に子どもたちにとって大きな学びになると感じており、肌の色や言葉の違いを越えて自然に交流できることが、将来の国際感覚や共感力を育む機会になると考えています。

実際に、ザンビアの研修生が地域のイベントに参加すると、住民との交流が自然に始まり、子どもたちが学校で学んだ英語を使って話しかけようとする姿も見られます。町内の小学校では、ザンビアの子どもたちとのビデオレターのやりとりも始まっており、文化や言語を越えた相互理解の第一歩が少しずつ築かれています。

将来的には、ザンビアの人たちが丸森に「暮らす」ことも視野に入れており、労働者としての受け入れやホームステイプログラムなどを通じて、より地域に根ざした交流のかたちを模索しています。

「みつやブリッジ」の活動は、「ザンビア丸森プロジェクト」で育まれた国際的なつながりを受け継ぎながら、交流の流れを絶やすことなく、地域と海外との関係をこれからも持続的に育んでいこうとする取り組みです。町の中にあるこうした小さな国際交流の場が、今後も新しい視点や学びを地域にもたらしてくれそうです。

<文> 山下久美

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