土地の約70%が豊かな森林の丸森町。町内に広く植林されている杉は、真っすぐ伸びる木を意味する真木（すぎ）を由来としており、伸展を願って丸森町の木にも指定されている。

丸森町はツーリングの名所でもある。美しい景色や地元の食材など、参加者に丸森町の魅力を知ってもらうことを目的として始まった「サイクルフェスタ丸森」は毎年参加者が300名を超える。

大河である阿武隈川はもちろん、そこに注ぐ清冽な支流を含め、丸森町の生活にとって川は身近な存在。渓流からとれる新鮮な川魚や川ガニ、ウナギなどは郷土料理としても愛されてきた歴史がある。

丸森町はコシヒカリの祖先になったと言われる「愛国」という品種の発祥の地とされ、町内中央部には平坦で美しい田園地帯が広がっている。粘土質の水田で収穫されるお米は町内外から好評。

大張地区の山間部では、地区の人々が江戸時代から長い年月をかけて荒れた地を鍬や馬などで整地し、石垣を積んで美しい棚田の風景をつくりあげた。「日本棚田百選」にも選出されている。

丸森町では多くの生産農家が、毎年50トン以上を出荷する県内有数のたけのこの産地。手入れの行き届いた竹林からとれる良質なたけのこは丸森町の特産品として長く愛されている。

県内有数のたけのこの産地である丸森町では竹林の整備が欠かせないため、竹で箸を作ったり、カゴやザルを編むなど竹細工が江戸時代から発展。あけびやマタタビでのつる細工の歴史もある。

皮をむいた柿の実を1ヶ月ほど寒風にさらす干し柿は「ころ柿」とも呼ばれ、丸森町の多くの農家が生産している。阿武隈川の湿潤な気候によって、湿ったり乾いたりを繰り返し上品な甘さとなる。

丸森町では養蚕業が盛んだった歴史がある。最盛期の昭和初期頃には世帯数の半分である約2000戸の農家が養蚕に励んでいた。大張地区には繭の豊作を願い建てられた「蚕玉（まゆだま）神社」がある。

養蚕が盛んだった丸森町では、古くから蚕や繭を襲うネズミを駆除してくれる猫を大切にしていた歴史がある。猫の石碑を猫神さまとして崇め、町内各地にある「猫碑」は保有数日本一。

養蚕が盛んだった丸森町では、蚕の餌になる桑も多く育てられていた。「マルベリー」とも呼ばれビタミンや栄養素が豊富。大張地区では試食会が実施されるなど、普及のための活動が続いている。

花こう岩の一大生産地とされる丸森町には巨石が多く、クライミングのゲレンデとしても、クライマーによく知られている。岩岳は北側が内川に向かって切れ落ちており、かなりの高度を感じる。

400年の伝統を受け継ぎ、和紙の原料を栽培し一枚一枚すき上げられた丸森和紙。原料から全て手作業で作る工程は全部で48もあり、丁寧に生み出される。特有の張りとふくよかな手触りが特徴。

登録有形文化財に登録されている店蔵がある齋理屋敷の敷地には、江戸時代から昭和にかけて栄えた歴史を感じさせる、用途別に建設された多様な蔵が並ぶ。

水とみどりの輝くまちをキャッチコピーとする自然豊かな丸森町。不動尊公園キャンプ場や、滞在型市民農園（クラインガルデン）など、自然休養型観光を推進している。

2千万年前に火山が吹き上げ形成された大蔵山で産出される「伊達冠石（だてかんむりいし）」は、イサム・ノグチをはじめ長年多くのアーティストや建築家を魅了してきた。

丸森町では江戸時代には年貢米、明治時代には材木、木炭、石材などを運ぶために舟運が栄えた。この舟運の名残を今に伝えるのが、昭和39年から続く「阿武隈川舟下り｣である。

東北でのファンも多い不動尊公園キャンプ場。川のせせらぎを聴きながら、美しい自然に囲まれて過ごす時間は家族連れだけではなく、ソロキャンパーにも人気。

アカシア、トチに加え、春には梅、菜の花、桜、藤の花、夏には栗や柿など、養蜂に向いた花も多く、ハチミツやミツロウなどの加工が盛んになってきている。

当時、イノシシの生息域は丸森町が北限と言われており、齋理屋敷の主人がこれを郷土料理にと考えたのが始まりと伝わるジビエ文化。皮をなめした革細工もつくっていた。

伊達政宗の曽祖父が晩年を過ごした丸山城址、伊達氏と相馬氏の争奪戦が展開された金山城址や小斎城址などの城跡が多い丸森町。伊達政宗が初陣を飾った町としても知られている。