丸森町でも若者が進学や就職を機に町を離れる現状が続く中、地方の建設事業も縮小を余儀なくされる状況でした。地元建設業で働いていた秀一と今野は新たな事業を通じて町に活気を取り戻し、自分の事業もさらに面白くしていきたいという思いを抱いていました。一方で、地元の観光事業で働いていた秀秋は丸森町への観光客誘致に苦労しており、起業支援をしていた本多は、従来のコンサル業務だけでなく、自ら手を動かし地域に貢献する必要性を感じていました。そんな折、一枚のサウナ写真を見たことがきっかけで、本多は「これを丸森で実現したら面白いかもしれない」と感じ、地元事業者のメンバーに相談を持ちかけました。
当初、サウナの魅力を理解していなかったメンバーたちも、フィンランドでサウナの文化や自然とのつながりを体感することでその価値観が一変。「これを丸森で実現しよう」と全員が確信し、サウナ事業を立ち上げることになりました。徐々にメンバーが集まり、現在のMARUMORI-SAUNAの構想が具体化されていったのです。
私たちは、サウナを通じて町の自然の魅力を引き出し、地域で新しく面白いチャレンジを行い、チャレンジする楽しさ、地域の魅力を多くの人々に伝えていきたいと考えています。
台風被害を乗り越えて
令和元年台風第19号は全国各地に被害をもたらし、丸森町も甚大な被害を負いました。
町中が茶色い泥水と砂ぼこりに包まれる。まともに走れない道路に転がる車。崩れた家。山積みの震災がれき、片づけようがない大量の土砂と瓦礫。
大勢の自治体職員、重機、ダンプ、自衛隊、消防、救急、ヘリ、メディア、そして助け合う地域の人々、大勢のボランティア、支援物資。
まさに、東日本大震災をフラッシュバックさせる光景。
深いため息、いらだち、恐怖、不安、悲しみ、怒り、あきらめ、疲弊。そして出口の見えない忙しさ。
そんな状況でも、木々から差し込む光に美さを感じ、一瞬の安らぎを与えてくれる。がれきの中の赤く染まった紅葉に息をのむ。
「自然と共に生きる」ことの意味を問われた瞬間。
自然に生かされ、自然の一部を使わせてもらってる。おごらず、謙虚に、共に生きていく事を本能的に感じた瞬間でした。
復旧の際には、ファン主導のクラウドファンディング・復旧作業のボランティア・そして様々な助けをくれる地域や仲間達。そんな中私たちメンバー一人一人は今できる目の前の事に一つ一つ取組ながら半年というスピードで営業再開を迎えることが出来ました。
2024年9月 宿泊施設がオープン
私たちは9月1日に、丸森町大内地区に位置する一棟貸切のプライベート宿「MARUMORI-STAY風土」をオープンしました。この宿では、丸森町の美しい自然やあたりまえの風景の中で、特別で贅沢なひとときを過ごすことができます。都会の喧騒から離れ、心からリラックスできる場所を提供しています。
「MARUMORI-STAY風土」には、サウナやアウトドアリビング、焚火場といった設備が整っており、ファミリーでの滞在はもちろんのこと、友人同士の集まりや企業研修など、さまざまなシーンでご利用いただけます。サウナで心身をリフレッシュし、自然に囲まれたアウトドアリビングでゆっくりと過ごし、夜は焚火を囲んで語り合う──そんな特別な体験をお届けしたいと考えています。
さらに、この宿を通じて、丸森町の魅力を存分に感じてもらえるような滞在を提供したいと思っています。自然豊かな丸森町の日常にどっぷりと浸かり、普段では味わえないひとときを過ごしていただけることでしょう。ぜひ、特別なひとときを「MARUMORI-STAY風土」でお楽しみください。
今後の展望
令和8年の水防センターのエリアにサウナ施設をつくる計画が進んでいます。
アウトドアサウナやBBQ、水防センターのロケーションは、丸森の豊かな自然に触れる機会を提供できるコンテンツです。私たちはただ施設運営を目指すだけではなく、これらのコンテンツを整備する過程に多くの方々が参加できるようにし、共にエリアを創り上げることで、丸森での人と人のつながりをより深めたいと考えています。このような取り組みを通じて、丸森のコアなファンを一人でも多く生み出していきたいと思っています。
