まるもり仕事図鑑Vol.1 陶芸家・ギャラリーショップ草舟オーナー 平野照子さん   

今年度より新たに、「まるもり仕事図鑑」の連載をスタートします!               

この企画では、丸森町内で活躍している実業家の方に、これまでの道のりや今後の夢、丸森町で事業を行う魅力についてお話を伺います。

            

2022年6月、旧丸森郵便局の建物にオープンしたギャラリーショップ草舟。                                オーナーの平野さんが陶芸家になられたいきさつや、故郷の丸森町に戻ってお店を開いた理由についてお聞きしました。

高校生までは丸森に住んでいて、進学のために新潟へ行きました。陶芸を始めたのは、社会人になってから知り合いを作るために通った教室がきっかけです。最初に受けた10回のレッスンでは物足りなく、プライベートレッスンに通い、やがてアシスタントになりました。

作品を作っていくうちに、個展を開かないかと徐々に声がかかるようになって。そういったことを経て、本格的に自分の工房を構えることになりました。

―― 平野さんの感じている陶芸の面白さとは、どんなところですか

陶芸を始めた頃で言うと…最初に教室の先生から『自分の心の中のものを形にしていい』と言われたんですね。なにか禁止されていたものを許された気がしました。                 

今は、生活の中の食器を作ることで人の暮らしに入り込むことができる、という事に面白さを感じます。私自身も器を使うことで、その作り手を思い出したりしますしね。

日頃から、旬の食材を季節感のある器で頂くことを大切にしている平野さん。それは、心をこめて作ったものに囲まれて暮らしたいという思いと、農家さんなど作り手への感謝の気持ちから来るのだそう

―― なぜ丸森町に戻って来ようと思われたのですか

震災や台風被害を目の当たりにするたびに、故郷を捨てた罪悪感があったんです。知り合いなどが復興支援に携わっている中で、自分も一緒にやらなきゃという気持ちを抱くようになりました。コロナ禍で実店舗営業からオンラインが中心になったことで、新潟にいる必要はないのではと感じ、丸森に戻ることを決めました。

平野さんのお店にはよく同級生の方が来てくれて、お店の改修や売り場の入れ替えなどを手伝ってくれるそうです。またお店同士でも、お互いのチラシを置いたりなど連携されていて、常に人に囲まれている印象があります。

新潟にいた頃は、女性店主がやっている地域のカフェ、雑貨屋、古道具屋などと一緒にコラボ企画やマルシェを開催し、他のお店とお客さんを繋ぎながら集客をしていました。その店主さん達とは、良い飲み仲間でもあったんですよ。                                

丸森でも同様に、周辺のカフェなどと交流を持ちながら、共に町にくるお客さんを増やしていっています。そういう仲間がさらに増えていったら嬉しいですね。

―― これから丸森町で起業を考えている方もいらっしゃいます。町で起業するメリットは、どのようなところだと思われますか。

丸森には自然素材がたくさんあり、ものづくりをする人にとって魅力的な環境だと思います。うちでも、御影石を使った【丸森ブラック】という作品を製作しました。今後は、木の灰を釉薬にした作品などを展開していく予定です。

―― 今後の展望を聞かせてください

ギャラリーのスペースをPOP UPショップとして貸し出して、新しく始める人の一歩をお手伝いしたり、また町の観光案内をできるような拠点になっていきたいです。文化的な交流の場が町内にさらに広がっていったらいいなと思っています。

撮影 / 佐藤浩子

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