まるもり仕事図鑑Vol.2 有限会社半澤牧場  代表取締役社長 半澤善幸さん

丸森町の産業として代表的な、酪農。普段の生活ではなかなか接する機会がなく、個人的にずっと気になっていたお仕事の一つです。町内最大規模の酪農家、有限会社半澤牧場の半澤善幸さんにお話を伺いました。

――半澤さんのご実家は、代々酪農を営んでこられたのでしょうか

私の祖父の代では元々蚕の種を販売していましたが、養蚕が産業として厳しくなり、昭和12年頃より生乳を出荷をするようになったのが始まりです。

私自身は、角田高校を卒業後、北海道の酪農学園大学で学びました。大学では教員免許を取り、教員になることも考えていたのですが、その前にカナダで酪農の研修を受けようと思いまして。ヨーロッパや北米は酪農の先進国で、実際行ってみると、牛の改良によって牛乳をたくさん搾れるようになったり、健康に生きられるようにという考え方が進んでいたんです。そういった環境に触れたことで、日本に戻ってからすぐに実家を継ぐことに決め、牛の改良や牧場の規模拡大に取り組んできました。

平成14年には法人化し、生乳に加えて、和牛や受精卵の販売も行っています。現在は、ホルスタイン種200頭、育成牛100頭、和牛繁殖牛66頭、子牛110頭を飼育しています。

――善幸さんの代で、広く事業を拡大されたのですね。半澤牧場さんというと、おなかがゴロゴロしにくい牛乳の話をよくお聞きするのですが、詳しく教えてください。

おなかがゴロゴロする原因のひとつとして、牛乳にふくまれるβカゼインというタンパク質が関係していると言われています。βカゼインにはおなかがゴロゴロしやすいA1タイプと、なりにくいA2タイプがあるのですが、うちでは7年前から全頭の遺伝子検査を行い、区分けしてほとんどがA2タイプとなっています。ただ、A2ミルクとして販売されているのは、北海道の一部の地区などにまだ限られていますね。

――品質にこだわりのある半澤牧場さんの牛乳や加工品が、町内でも購入できるようになったら嬉しいなと思っています。

そうですね。いつか町内企業などと連携して、アイスクリームなどの提供ができたらということは考えています。

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一度に24頭の搾乳ができる施設

和牛は人間に興味津々で近寄ってきました!

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酪農は365日のハードな仕事。また、高温多湿な丸森の気候は、決して最適な環境とは言えないそう。それでも、町内で酪農を行う理由とは?

酪農は、365日です。うちでは毎日、5:30・13:00・21:00の3回の搾乳、そして血液検査や健康チェックをします。また受精卵の移植や次の世代の乳牛を作ることなど、やることはたくさんあります。でも、改良の成果が出た時には達成感を感じますね。

丸森で酪農をやる良さは、仲間が多い事でしょうか。情報交換ができますし、実務的な部分でも牧草やデントコーン(飼料用トウモロコシ)の刈り取り作業を共同で行ったり、人が足りない時には行き来をしたり。また、振興組合の存在や町営牧場が整備されているということもあります。

――半澤さんが、事業を通して目指しておられることは

良い遺伝子・受精卵を提供し、それが県内の酪農家さんの収益に繋がることです。

牛の改良や新しいビジネスの立ち上げなど、絶え間ない挑戦を続ける事が、さらなる事業の拡大と地域産業の活性に結びつく。半澤さんのバイタリティ溢れる経営手腕の一部を、垣間見た気がしました。

撮影 / 佐藤浩子

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