お祝いやお見舞い、お供えなどに欠かせない花。その昔、丸森には生花店がなく、造花が多用されていた時代もあったそうです。そんな状況から、丸森で生花を扱おうと1969年に開店したのが、ふるかわ花園さんです。
盆栽や生け花などがブームになった時代に、町内に生花店がなかったという事から祖父が創業しました。昔は各地区に生け花の教室がありましたし、うちでも場所を貸してお花の教室を開いていて、近所のお姉さんたちがお花を習っている様子を覗いたりしていました。
子供の頃から店をいつか継ぐのだろうなと薄々感じてはいましたが、自ら目指していたわけではありませんでした。実際、学校を卒業してからは別の会社に就職をして、経理の仕事をしていました。でも社長(和也さんの叔父)や一緒にやっている両親が高齢になってきたこともあり、30歳で会社を辞めて、ふるかわ花園に入りました。入社当時は接客もレジ打ちもすべて見様見真似で、店に立つのも怖くて。全然楽しめていなかったです。
――畑違いの現場でご苦労も多かったのですね。そこから仕事が面白くなりはじめたきっかけは何でしたか
入って3~4年経ったころに、仕入れを一人で任されるようになりました。ある時、普段は買わない「クロトン」という植物を仕入れてみたんです。そうしたらそれが完売して。自分が仕入れたものがお客様に選ばれて、すごく嬉しかったのを覚えています。その次にクロトンを2倍仕入れたら、全然売れなくて社長に怒られたんですけどね(笑)。そういう失敗も経て、仕入れの時には「これは花束に使えそうだな」とか、使う場面を考えるようになりました。仕入れは経験です。
また最近では、リースの製作が楽しい仕事です。花はロットで仕入れるので、売れ残りが必ず出てしまいますし、アレンジメントを作る際にも残る部分があります。そういったものを活用してリースを作っています。
――生花を扱う上で大変なことはありますか
気候や季節によって値段が変動する事です。近年は特に、高温障害や輸送費の関係で値上がりが続いているのが悩ましいところですね。また花の管理の大変さという点もあります。例えば、仕入れてきた花が長持ちするように、店頭に出す前にすべて水揚げという作業をするのですが、花によっては熱いお湯に5~10秒つけてから冷たい水に入れる「湯上げ」という方法をとったり、水の中に入れて切る「水切り」をするものもありますし、それぞれに合わせた処理をしなければいけません。温度管理においても、ただ一定にしておけばいいというものでもなく、花に合わせた適温にする必要があるんです。
――今後どのようなお店づくりを考えておられますか
ここで店が続けられるのは、丸森町の「人の優しさ」に支えられているからだと思っています。ですから自分の好みを押し出していくのではなく、地域との関係性を大切にした必要とされる花屋でありたいです。
また、これまで花に触れる機会が少なかった方にも、家で長持ちさせるための知識などをお伝えして、楽しんでいただけるようにしていきたいです。「自分のために花を買う」という人が増えていったらいいなと思っています。
花をどう注文したらいいかわからないという方は、予算や色合いを教えてください。うちでは、花束は1,000円から作ることができます。またギフトであれば、お渡しするシチュエーションなども伝えてくださると、よりイメージに合ったものをお作り出来ますよ。
撮影/佐藤浩子