まるもり仕事図鑑Vol.4
宗片菜園 宗片孝子さん

ボリューム満点のオムライス、ランチに野菜を足したい時にちょうどいい御煮しめ、具沢山のおにぎり。この作り手の方は食べる人を喜ばせたいのだろうなと、宗片菜園のお惣菜を手に取る度に感じるものがありました。

――CULASTAで仕事をする日には八雄館でよく宗片さんのお惣菜を買っていて、どんな方が作っているのだろうといつも気になっていました

そういう声を聞くとうれしいです。毎日10品を作るのは本当に大変なんだけど、お客さんに喜んでもらいたくて続けています。

――いつ頃から宗片菜園を始められたのでしょうか

宗片菜園というのは、元々かいわれ農家だったんです。仙台市内の生協や長崎屋などを中心に出荷をしており、私も農協で勤めていたのを辞めて家業を手伝うようになりました。ところが、かいわれの出荷が好調だった最中、O-157という食中毒の風評被害で出荷数が半分ほどに減ってしまうという出来事があったんですね。その後10年は継続したものの、一緒にやっていた母が亡くなったこともあり、かいわれの事業を辞めることにしました。

それでも、宗片菜園を再起したいという思いがありました。好きだった料理の腕を活かして何かやれないかと考え、まずは働きながらお金を貯めて加工場を作り、飲食店営業、惣菜・菓子・漬物製造の資格を取るなどして準備を進めていきました。そして平成30年からまた「宗片菜園」として販売を始めました。

スタートした頃は、夜にスーパーの品出しの仕事も掛け持ちしていましたが、徐々にお惣菜の販売が軌道に乗っていきました。現在は朝4時に起床して新聞配達、5時20分から約3時間ほどかけてお煮つけ、天ぷら、おにぎり、卵焼きなど10品のお惣菜を作って八雄館に納品し、日中は畑仕事をするような生活スタイルになっています。

――本当にタフに動いておられるなと驚きます。お惣菜の納品も週7日、お盆休みなど長期休暇も取られないとのことですが

お惣菜は絶対休みたくないんです。それは、かいわれをやっていた時からですね。ライバルが多い中で、せっかく交渉して取った契約も休んだら簡単に切られてしまうという危機感を持ってやっていたので、どんな状況でも昔から休んだことがないです。健康の秘訣は、夜のウィスキーです(笑)!

八雄館に並ぶ、宗片さんのおにぎりとお惣菜

大きな冷凍庫に野菜がたくさん保存されていました

――お惣菜に使う野菜なども、すべてご自分で作られているのですよね

そうですね。できるだけお惣菜の量は多く、でも安くして喜んでもらいたいんです。だから野菜は自分で作ったり山から採ってくるし、自分一人でやれることは自分でやってコストを抑える努力をしています。夏の間は収穫した野菜を冬のために冷凍したり、シソも毎日取って千枚漬けにしなくちゃいけなかったから、夜の21時頃まで作業している日もありましたよ。

野菜は、どうやったらうまく作れるのか記録をつけながらやっています。美味しいお惣菜を作るには野菜作りから。そういった工夫が必要だと思います。

――地域との関りも含め、今後どのような展望を描いておられますか

今は、地域で防火クラブの支部長や会計など色々な役を担っています。筆甫地区では私より高齢の方も多いので、自分の身の回りがある程度安定した分、今度は地域の皆さんに楽をさせたいですね。

宗片菜園
業種:そうざい製造業
免許取得:平成30年9月
お惣菜を買える場所:八雄館

撮影/佐藤浩子

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