【まるまるまるもりプロジェクト|山下 久美】

前回、自然素材の面白さに感動しているという内容のブログを書いたのですが、私たちの商品であるミツロウラップ「tsu tsu mi」を作っている中でも、同じことを感じています。

ミツロウラップを初めて小さなマーケットで販売したのが去年の5月でした。私自身は環境に優しいアイテムということでミツロウラップに興味を持ったのですが、一年間この商品と付き合う中で、エコな要素に惹かれているというよりは、自然素材の面白さと素晴らしさが好きで、これをやっているんだなと思っています。

例えば、ミツロウラップの特徴のひとつに、野菜の鮮度が長持ちする、というものがあります。それはミツロウの持つ天然の抗菌性と保湿性が活かされています。そういった作用は人間が合成して作り出す前から、自然の中に穏やかに存在しているということに感動します。

しかし、自然のものというのは人工のものと違い、常に一定ではありません。ミツロウはその日の気温によって状態が変わるので、季節が変わるたびに商品の仕上がりに違いが出てきてしまい、その都度作り方の変更が生じたことには苦労しました。また蜂の集める花粉の種類や、時間経過によってミツロウの色味が違うという事にも最初は戸惑いがありました。私たちは普段から、いつどこのお店に行っても同じものが買えるという事が当たり前になっています。ミツロウの色味が違うことで、商品の仕上がりに差が出るという事は、品質管理がなされていないことのように思えてしまったのです。

こういった自然の中で起こる個体差の事を、お世話になっているデザイナーさんが「ゆらぎ」と表現していたので、これはいいなと思い使わせて頂いているのですが、私たちも商品を作り始めた時には、この「ゆらぎ」に関して理解が足りず、画一的なものを作ろうとしていました。

ミツロウにも微妙に色味の違いがあります

また、これは「ゆらぎ」とは違うのですが、取り扱う布にも苦労がありました。作ったミツロウラップを検品している時に、わずかにボールペンで書いたような線が入っていることがあるのです。これは布を作る工程で、工場内で作られている別の製品の微細な繊維が混ざったことなどによって起こるそうなのですが、わたしたちは最初それを不良品として除外していました。しかし、そういった事が度々起こったときに、使用に何も問題がないものを不良品とすることに違和感を感じてきました。もちろん衛生管理など厳しくあらねばならない面もあるのですが、もう少し自然の変化や作業工程で起こる「いびつさ」に寛容であってもいいのではないか、と思い始めたのです。

そういったところから、何に価値を置くのかということを考えさせられましたし、その上でわたしたちは、「自然のゆらぎを面白がってみる。そして物を大切にする」という答えに行き着きました。現在では、異色の繊維が混ざってしまった布やミツロウの色味が違うラップも、私たちの考えを示した上で、商品として採用しています。

そういった私たちが大切にしている事を「tsu tsu mi」に反映させながら、これからも納得のゆく商品づくりをしていきたいと思っています。


マメムギモリノナカ 山下久美

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