【リトル マイ KOSAI】4つぶ目。

ふるにときめき、ときめきをおくる -暮らしを感じる地名-

古本や古着、身近な古い建物が好きです。

古本をめくったとき、古着に袖を通したとき、前の人の痕跡がちょっと残っていることがあります。

よさげなフレーズに傍線が引いてあったり、タグに名前らしきものが書いてあったり、袖のほつれが生地と似た色の糸で補修されていたり。

こういうのを見ると、気持ちが41℃くらいになります。この感覚が好きです。

昔の手仕事や、暮らしの知恵、風習などを見聞きしたときも同じ感覚があって、最近になって地名もそうであると気付きました。

今回は、かつての暮らしぶりを感じる地名をご紹介します。

籠屋 かごや

こちらは屋号です。文字通り、竹を編むプロ、籠屋さん。

数年前からかご雑貨がまたブームになってきて嬉しい限りです。

江戸中期に版行された「今様職人尽百人一首(いまようしょくにんづくしひゃくにんいっしゅ)」にも、かごやが描かれています。

かの有名な小倉百人一首の語感をそのままに、職人の普段の仕事ぶりを洒落を効かせながら面白おかしく詠む、いわゆるパロディー本です。

ここでは、二人の職人が大きな籠を編んでいる絵に短歌が添えられ、余白には台詞が。

「この竹はきつくて編みにくい」「今日は仕事ができぬ!」「ほんに、竹持って尻疲るる、だ」と、なにやら愚痴たっぷりの様子。

最後の竹もって…は、「酒盛って尻切らるる」ということわざが元ネタとされ、どんどん酒を盛ってやったら酔っ払いに怪我させられた、…つまり恩を仇で返された、というような意味です。

かごやの二人だけでなく、この本で描かれている職人はみな、とても親しみやすい雰囲気。

暮らしの一部としての手仕事を淡々と、時に雑談を交えながら和気あいあいとこなす様子が見て取れます。

他にも瓦職人は「ちと、土があまい(良くない)」、植木屋は「むむ、よいふりだ(枝ぶりや葉ぶりが好ましい)」などの独り言をつぶやきながら作業しています。なんとも風情たっぷりの本です。

狂歌と呼ばれるこのジャンルは、江戸中期にかなりの盛り上がりを見せました。


暖簾をくぐりたくなる地名ですね。こちらは地図にはない、口伝えのみの、いわゆる通称地名。

かつてこの場所に風呂屋があったことが由来とされます。

風呂の起源は、今でいうサウナのような蒸し風呂スタイル。蒸し風呂の公衆浴場が各地にできはじめたり、首まで湯につかる現代に近い家風呂スタイルが生まれたのが、江戸時代はじめ頃です。

ちなみに、入とつく地名は谷の奥の場所、という意味で使われる場合が多く、小斎にはかつて六つの「入」地名があり、六入と総称されました。

こちらの風呂ノ入は、ふろのいり→くろのいり→黒の入、と発音が変化しています。調べる限り、初出は検地が行われた江戸寛永期(1624-1644)。

これは、早い段階で風呂屋が無くなり、フロという音だけが伝わっていったものと思われます。

風呂の語源は、洞窟などの狭い空間を意味する室(ムロ)からきており、自分でムロを作ったり天然の洞窟を利用して蒸気浴を楽しんだことが由来とされているので、どの程度の風呂屋(風呂場?)があったのか、定かではありませんが…

ちなみに、温泉と銭湯の違いは特定の成分を含む自然の湯か、人工的に沸かした湯であるか。

風呂屋と湯屋も、蒸し風呂スタイルか湯舟に浸かるスタイルかで区別していたとされますが、時代とともに混同していったようです。湯屋、と聞くと強くて怖い派手な魔法使いを思い出します…

「風呂は命の洗濯」という台詞が有名ですが、「温室経」という経典もあります。

説法によると、「風呂に入ることは七病を防ぎ七福を得る」のだとか。

風呂は本当に命の洗濯で、いいこと尽くし!お風呂に浸かりましょう。


以上、暮らしを感じる地名でした。

実は最近まで「受け継ぐ=土着であること」という固定観念がありました。

衣食住、どんな場合でも、それが正しいと思っていましたが、どうもそうではないと思うようになったのです。

今はどこも情報やモノは多くて、人手は足りない。

今まで以上に、昔ながらの技術や知恵が受け継がれにくくなっています。

大事なのは、「受け継ぐ」機会にどれだけ出会えるかだと思います。

例えばそれは、手仕事体験ワークショップとか。他にも、田舎暮らし体験ツアー、季節の行事や風習を暮らしに取り入れてみること、地域を取材してSNSや紙媒体で発信すること、などかもしれません。

百聞は一見に如かず、オンラインは現地に如かず、ではあるかもしれませんが。

その場にいない分、できることは限られるものの、遠く離れた地で体験したことや出会いを思い出し、地域のことを一瞬でも考える時間がある。これも、一種の受け継ぎ方だと思います。

そしておそらく、今ぱっと挙げたものは、私のやってみたいことな気がします。

郷土の文化や風習も、古本古着のように、いろんな人の目に手に触れて、面白がってくれる人に行きついて、その周りの人にどんどん受け継がれていったらいいなと思うのです。

その機会を作る、出会いを贈る。そんな動きを今後できたらなと妄想しています。

まだまだ詰めることは山積みですが、良い考えには「三上」が最適とされます。

「馬上、枕上、厠上」。このほかにもシャワー中とか、朝エンジンをかけたときとか、ふらっと散歩に出たときとか、良いアイディアが出がちです。

ずっと机にかじりつくのではなく、ひと息つく瞬間にこそ思考が冴える、不思議なものです。

ということで!そんな「三上」になるかも?なイベントを小斎にて開催します!

今年で13回目となる「小斎みんなの作品展」にミニイベントでお邪魔させていただくことになりました。

まちセン全体を使った小斎住民の作品展示に、日曜限定でキッチンカー、豚汁おふるまい、参加型ライブペイントを開催します。(私はライブペイントにこっそり登場します。)

「第13回みんなの作品展」in小斎まちづくりセンター
 2024年11月8日(金)~11月10日(日)
 8日(金):8:30~17:00
 9日(土):9:00~15:00
 10日(日):9:00~15:00
 作品展示、おふるまい、キッチンカー、参加型ライブペイント
  ※作品展は3日間開催、その他ミニイベントは10日(日)のみ。
 主催:小斎振興協議会  協力:小斎盛りあげ隊
 お問い合わせ:小斎まちづくりセンター(78-1111)

告知になっちゃいましたが、ひと息つきにぜひいらしてください。

ではまた!

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